あなたを待っている本を奪い去りたい

先日、誠光社へ立ち寄ってみた。

京都、河原町丸太町に最近出来た個人(堀部篤史氏による)書店です。

www.seikosha-books.com

こちらではいわゆる本屋さんのように出版取次(トーハン・日販など)を介して書籍を仕入れるのではなく、店主さんと出版社が直接取引をするシステムなのだという。そのため、委託販売制度にとらわれない自由な陳列・在庫管理が可能であるのだろう。
店主さんによって一冊一冊吟味されて並んだ商品を、我々お客が選んで買う。なんだかそれって自分のために運ばれてきた特別な本との、運命の出会いのような気がしますよね。うまい言い回しができなくてすみません。



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大きな交差点(河原町丸太町)から一本東入った路地。
丸太町通りから上がると200mほどで丁字路にぶつかるので、通り名は無い。
町名を借りれば、俵屋町~袋町通でしょうか。
この通りには誠光社の他に、大正8年(1919年)創業の老舗銭湯「桜湯」や、
すぐ隣にはおいしいエスプレッソが飲めるカフェ「アイタルガボン」があります。



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https://www.instagram.com/p/BAY3R_yvE-n/
室外機の目隠しが京都らしく景観に配慮してて優しい

店内に入ると心地よい木の香り。さほど広くないです。
でも、それがいい。
なぜかって、10分ちょっとあれば店内の本全てのタイトルに目を通すことができるところ。
実際どの程度の頻度で商品が入れ替わるかわかりませんが、毎週末通ったって苦にならないボリュームなのがちょうどよい。

たとえば京都市内なら大垣書店のような、あれら大型書店にはない、アットホームさがある。
新刊がとにかくズラーッと並んでたり、POPがしゃしゃり出てたりしていない。
棚番号どころか、見出しも見当たらない。
棚に、本が、とある誰かの趣味で、並んでいる。
良くも悪くも、親せきの本好きの(センスが良くて綺麗好きな)おじさんの書斎みたいな雰囲気が僕の心を鷲づかみにしました。
そう、本屋らしくないところ!(失礼)


欲しい雑誌・本がある、新刊を待っていたコミックがある、ポイントを貯めたい、
そんな時はいつもの本屋へ(僕なら大垣書店 三条・四条店)

特に欲しい本がない、だけど知的好奇心をくすぐられたい、あまりお目にかからない本と出会いたい、
そんなときはここ、誠光社へ足を運ぶと思う。

そもそも僕は熱心な読書家でも書評家でもないので、そこに並んでいる書籍の味わいや深みだとか、陳列棚からの正しいメッセージ性についてうまく感受することもできませんし、語ることもできません。各々が目で見て、表紙を手で触れ、内容から得るインプレッションが全てです。

僕個人の捉え方としてこの書店は、
店主のアイデアという仲介サービスを本のタイトルにして売ってくれる店だと思う。

かつて大型書店に並んでいながらも僕の目に入らず忘れ去られた「僕の気になる本」との出会いだってあるかもしれない。それがこのお店でだったら、あの時あの場所で買った本だなってずっと記憶される。それって素敵やん?自分の本棚見ても、買った場所と時間と思い出がリンクされてるのってあんまり無いんだよね。有ればいいってもんでもないけどさ。


じゃあ、このイデアつまり本のタイトルが売り物なのにその場で買わずタイトルを記憶して、後日amazonマーケットプレイスで検索したり別の古本屋で再会して安く買ってしまったときってどんな気持ちになるのかな。
「お得な買い物した~!」「よい本のタイトル教えてくれた誠光社さんありがと~」なのか、
「あの時アイデアをくれたのにその場で買わずごめんなさい誠光社さん...」なのか。
読者(消費者)の品格が試されてると思うのは、僕の考えすぎでしょうか。
無論、市場で定価以上の価格がついている古本も多くあるのでしょうけどもね。


買った本

英語で読む銀河鉄道の夜 (ちくま文庫)

英語で読む銀河鉄道の夜 (ちくま文庫)

 ・実は原作すらまともに読んだことないんです。
   購入したら、かもがわカフェでのコーヒー割引券がもらえました。誠光社から北上、徒歩数分。
   
 
かもがわカフェ - 神宮丸太町/カフェ [食べログ]


買おうか迷った本

コミック 文体練習

コミック 文体練習

 ・原本を持っているので、セットで揃えておきたい欲。

 

作家の犬 (コロナ・ブックス)

作家の犬 (コロナ・ブックス)



神戸、書いてどうなるのか

神戸、書いてどうなるのか

 ・老後は神戸に住もうと思っているので。


そうだ、京都に住もう。

そうだ、京都に住もう。

 ・長いこと大垣書店で文庫版が平積みされていたので、ちらっと立ち読みしたことはある。


ひらがな暦 三六六日の絵ことば歳時記

ひらがな暦 三六六日の絵ことば歳時記

 ・これはアイタルガボンで読んだ本。